「杏奈が悪の大王だって、どんなに周りに嫌われたって、そんなんどうでもいいけど。
だけど……死にたい、なんてのはもう言わないでな」

「言わな、い」

「ん。俺の為に生きて。俺を悲しませない為に生きて」

「うん」



緋人はあたしの頭の後ろに手を伸ばすと、ぐいっと引っ張る。
緋人の胸元にあたしの額があたった。



「杏奈、ちょー好き」



頭に顎を乗せながら、緋人がそう囁く。
あたしは泣いて言葉にならないから、コクコクと何度も頷いた。