「噂なんてあっと言う間に広がるからねえ。
多分、今日別の子にも呼び出し喰らうかもね」
「…ちょ、ちょっと!守ってくれるんじゃないの?」
「うん、守ってあげる」
「…はああ?」
まじで意味わからない。
本当に、本当に、この人わからない。
「守ってあげるから、さ」
あたしの肩を掴んでいた大きな手が、あたしの腕を掴む。
それから強引に引っ張ると、扉から押し出して駅に降り立った。
有無を言わさずに、あたしを電車から引きずり下ろす。
後ろで、扉の閉まる音が力なく聞こえた。
もちろん、この駅はあたしが利用してる駅ではない。
多分、彼の降りる駅でもない。
この制服、二個先だったはずだから。
毎日通学時に見てる。



