それから、電車に乗る前、緋人は京香さんに電話をかけていた。 もちろん、京香さんは大激怒。 きっと、会場に行ったら大目玉に違いない。 緋人もうるさそうってぼやいていたけど、その顔に翳りはない。 電車に乗り込んで座席に座ると、あたしは昨日のテレビの事を話した。 「見たよ、テレビ」 「え。嘘。俺時間教えてないのに」 「教えて貰った」 「誰に?」 「サトルさん」 「え?」 それに上機嫌だった緋人の顔が曇る。 体をこっちに向けると、眉間に皺を寄せた。