「俺から離れんなよ」
「うん」
「ちゅーしていい?」
「……」
「え。何で黙るの?いい雰囲気だったじゃん。今」
驚いた声でガバッと肩を掴んで、あたしから離れる緋人。
だけど、あたしの顔を見て察してくれたらしい。
きっと、今のあたしの顔は酷く真っ赤に違いない。
「……まじで、何ソレ。可愛すぎ」
「だって、し、した事ないんだもん」
「あーまた“もん”って言った。可愛すぎです。無理です。反則」
そう言って、ちゅっと緋人はあたしの唇に自分の唇を合わせた。
一瞬でそれは離れたけど、あたしの思考を停止させるには充分だ。
まだ固まってるあたしを見て、クスクス笑うと緋人はあたしの頬を包み込む。
それから、今度は味わう様にゆっくりと唇を重ねた。
ほんの数秒だったけど、あたしには凄く長く感じた。
ドキドキし過ぎて息が出来ない。



