「あたしは、あたしは」 緋人は黙ったまま、あたしから視線を逸らさない。 言葉が詰まる。 だけど、言わないと。 「……あたしは緋人が好きだからっ」 そう口にした瞬間、緋人の目が際限なく見開かれた。 そのまま固まっている。 「……」 「……」 「……」 「……」 何、この沈黙。 緋人は目を見開いたまま、何も言わない。 ちゃんと聞こえたよね? 「……えと、緋人の、事、す」 「ストップ」 「っ」 突然遮られて、あたしはうっとなる。 緋人は動揺しているのか、顔を手で覆いながら口を開いた。