「っ、はっ、はあ、いた」



ヒマワリ畑の目の前に寝転んでいる、緋色の髪をしたそいつ。
寝ているのか、緋人はあたしに気付いていない。


緋人の顔を見たら、もう勝手にあたしから涙が溢れて来る。
歯を食いしばりながらあたしは緋人の前に立った。


やっと緋人があたしに気付いて、目を真ん丸にした。
体を起こして立ち上がる緋人に思った事をぶつける。



「ば、か」

「……杏奈」

「バカ!」

「……」

「京香さんが、探してた」

「うん、知ってる」

「今日は緋人にとって大事なショーなんでしょ?」

「うん」

「じゃあ、何で」

「……杏奈には関係のない事だよ」

「関係あるよっ」



気付けば大きな声が出ていた。
ぎゅうっと洋服の裾を握り締める。


涙をボロボロ流しながら、あたしは続けた。