先生にも親にも言えない。 クラスメイトだって助けてくれない。 それしか、選択肢がなかったんだ。 もしも、あたしがイジメられてた時に。 代わりに誰かをイジメたら助けてあげる。そんな事を言われたら。 どうしたかなんてわかんない。 あたしには緋人がいたから、だから、選択を間違えずに済んだんだ。 カチャリと音がして、ゆっくりと扉が開いて行く。 中から目を腫らした香奈が俯いたまま姿を見せた。 あたしはその香奈を思いっ切り抱き締めた。