「…うん」
「杏奈は俺の彼女なんだから堂々としてて?」
「……あのさ」
「ん?」
「緋人って何モノなの?」
「……何モノって」
「だって、この人気おっかしーじゃんか」
「……あ、電車来た」
電車が到着して、それに乗り込んだあたしと緋人は向かい合う。
混雑しているからかあたしを扉側にして。
吊革を掴んで、あたしを見下ろす彼は確かに少し色っぽい。
何であんなに自信持ってたのか、わかるような気がする。
こんなにかっこよくて人気ならさ、彼女になれたら有頂天だよね。
だけど、お生憎様。
あたしはこの人にあまり興味がない。
見返してやるんだ、その為に付き合ってるだけ。



