…いやいやいやいや!!!
このタイミングで抜け出す?普通。


これって、あたしかなり邪魔者じゃない?


確かに彼女になったけど、こんなに反感買うなら嫌だよ?
だって、現に遠くの女の子が睨むようにあたしを見てるし。


可愛くないだの噂してるし。
これでも頑張ってメイクしてきたんだけど。

素ッピンでなくて本当によかったと、心底思った。



可愛くないのわかってるから、言わないで欲しい。
駄目だ、また負けそうになる。



ぐっと、拳を握りしめながら俯くと。



「大丈夫」



そうやって、緋人があたしの肩を抱いた。


抱かれた熱で、嘘みたいにあたしの不安は引いて行く。


どうしてだろう。
何でこんなに安心するんだろう。