緋人はにっこりと笑って
「そうだよ」
愛想良く彼女達の話を聞いている。
…はあ、大変だねえ。
てか、本当にモテるんだね。
あたしには関係ない世界だわ。
「きゃああ!緋人じゃん!」
その後ろから、どでかい声がして肩をびくっと揺らした。
ま、また?
「このバッグにサインしてくれますか!?」
「ああ、はい」
取って張り付けたような笑顔で、緋人はサインをしていく。
他の女の子にも。
愛想良く対応していく。
暫くしてから、緋人は急にごめんね。と断って
「彼女待たせてるから」
そうやって、喧騒の中から抜け出してあたしの元へ舞い戻った。
取り巻いていた女の子達は口を開けて、ポカンとしている。



