後ろから二人の笑い声が聞こえた。
走りながら涙が勝手に溢れ出した。
だけど、この涙は何の涙なんだろうと思った。
悔しさからなのか。怒りからなのか。
そのどっちにも当てはまってる様に思えた。
最低だって思ったあの二人に、あたしがなってしまっていた事実があたしを苦しめた。
駅に着くと、ホームに向かう。
肩で息をしながら、必死に涙を拭った。
どうにか、涙は止まったけど気持ちは全く追い付いていない。
「……杏奈?」
周りなんて見えてない。
だから、緋人がそこにいた事にも気付かなかった。
驚いた顔であたしを見つめる緋人は、すぐに駆け寄る。
肩をがしっと掴むと、「どうした?」と心配そうな声を出す。
だけど、その手をあたしは振り払った。



