「自分じゃないみたい…」

「ほら、早く緋人ちゃんのとこに行ってらっしゃい」

「はい、ありがとうございます!りなさん!」


あたしが笑うと、りなさんもミレも優しく微笑んでくれた。
桜井さんと話を終えたのか、緋人はキョロキョロと誰かを探している。



「緋人!」


そう声をかけると、緋人がこっちを見る。
あたしだとわかって、笑顔になりかけたのにあたしの顔を見た瞬間、その顔が固まった。


「お疲れ様!」


近寄ってそう言うが、緋人はまじまじとあたしの顔を見つめて黙っていた。



「どうかした?」


首を傾げるあたし。
それから、「そうだ。どう?」と言いながら頬に手をあててみる。


「りなさんにメイクと髪の毛やってもらったの」


嬉しくてはしゃいでいたあたしの手をガシっと緋人が掴んだ。
それにドキッと心臓が跳ねた。

自棄に真剣な緋人の眼差しも、更に鼓動を速めていく。


そこに。


「あっれー?メイクしたの?可愛いー」


変に抜けた声を出すサトルさんが、緋人の背後から現れた。
掴んでいたあたしの手を握る力が強くなる。