それから一時間程で撮影は終わった。
秋冬の特集だけだったから、そんな時間がかからなかったらしい。
かかる時は深夜にまで及ぶとミレが笑って言っていた。
「あ。杏奈ちゃん」
片づけをしていたりなさんが、あたしに話しかけて来る。
緋人は桜井さんと話しているからここにはいない。
「おいでおいで」
手招きされて、あたしは素直にりなさんの元へと向かう。
それから、椅子に無理矢理座らされたあたし。
「さ。目を閉じて」
「え」
言われるがまま、あたしが目を閉じると何かがあたしの頬に当たる。
ぽんぽんっとされて、くすぐったい。
……もしかして、メイクされてる?
それから、眉と瞼に何かを塗っていた。



