サトルさんは今、緋人に言われた事も全く気にしていないみたいで飄々としている。
「あーあ、怒ってる。これ、本気なのかな。
でも、ああ言われると余計燃えちゃうんだけどなー。俺」
そうやって、ぼそっと呟いたサトルさん。
「え」
あたしは目をぱちぱちとさせながら、サトルさんを見るがサトルさんはニッコリと笑うだけでそれ以上何も言わなかった。
サトルさんが隣にいるだけで、何か威圧感を感じるんですけど。
特有のオーラっていうんでしょうか。
何されるんだろうって思うと、些細な動きにも敏感になってしまう。
それから、緋人の撮影が終わってサトルさんの順番になるまであたしは全く集中出来ずにいた。
緋人の事、全然見れなかったよ。
一応見てたけど、隣にいるサトルさんが気になって気が散るというか…。
あれから何もしなかったから、安心したけど。
サトルさんがセットの前に立つと、ミレの合図で撮影が開始される。
軽快な動きでポーズを決めるサトルさん。
看板モデルというだけあって、サトルさんの動きは一々華やかだ。
ふいに見せる表情がカッコよく映る。



