「己奈子、緋人を知ってるの?」
「あ、当たり前じゃん!!!
うちのクラスでめっちゃ人気だし!!!
近くに住んでるとか聞いてたけど、まじでいた!てか、何で!?何でお姉ちゃんと知り合いなの!?」
己奈子は相当テンパってるらしく、声を荒げながらあたしに詰め寄って来た。
その迫力に押され気味のあたし。
すると、緋人の声が横から割って入って来る。
「あ、お母さん。己奈子ちゃん?かな。
初めまして。俺、杏奈とお付き合いさせて貰ってます」
ぺこっと頭を下げた後、緋人はお母さんと己奈子にそう告げた。
一瞬の静寂。
その後に、
「えええええええ!?」
と、己奈子のさっきよりもでかい声が玄関に響いた。
「か、かれ、彼氏?ひの、ひの、緋人が!?」
「己奈子、ちょっと落ち着いて」
「そうなの?杏奈」
己奈子を宥めていると、お母さんの落ち着いた声があたしの耳に届く。



