通話を終えた後、あたしは急いでクローゼットに向かい洋服を取り出す。
ワンピでいいや。マキシワンピ。
それにクロシェベスト。

メイクも簡単だけど一応済ます。
髪の毛も、とか色々やってたらあっという間に30分だ。


まだ髪の毛中途半端なのに、インターフォンが鳴ってしまった。
仕方ないからカチューシャで誤魔化して、急ぎ足で玄関へと向かう。


既にお母さんが対応してて、緋人を見たお母さんは目を真ん丸にしている。
緋人とばちっと目が合った。

苦笑いのあたしに、満面の笑みを向ける緋人。



「杏奈!男の子!」

「……うるさいですっ」

「え?お姉ちゃん、男の子ってまじ?」


リビングにいたらしい己奈子が騒ぎを聞いて、顔を出す。
そして、緋人を見て固まった。


「ぎゃーーーー!!緋人じゃん!!!」


目を見開きつんざく様な声を出した己奈子に、顔をしかめつつあたしは尋ねる。