緋人から連絡が来たのは昼過ぎだった。


着信が部屋に鳴り響く。
普段鳴らないから、思わず肩がビクッてなった。


携帯を覗くと、緋人の名前が映し出されていて慌てて通話ボタンを押す。


「はい、もしもし」

『…………』

「……えっ、と?緋人?」

『……杏奈、おはよ』


寝起きなのか、掠れた緋人の声。



「今起きたの?」

『うん。ダチの電話で起こされた』

「そうなんだ」

『今どこ』

「家」

『行く。会いたい』

「え?ちょ、ちょっと待って。準備してない」

『んー。俺もちょっと風呂だけ入りたいから30分後とかでもいい?』

「わかった」

『んじゃ、30分後ね』