「さーーて。じゃあ、これからちょっとだけスタイリングさせてね。
それですぐに撮影入ろうか」
そう言うと、桜井さんは慌ただしく四人を案内した。
あたし達はそれを黙って見つめる。
緋人がちらっとあたしに視線を移すと、ニヤっと笑った。
「杏奈、見てく?」
「うん」
緋人があたしの手を引くと、椅子まで連れて行く。
並んで座ってから、口を開いた。
「瞬は、俺の幼馴染なんだよね。
だけど、俺小学校の時に引っ越したから。
引っ越したっていっても凄い遠いわけじゃないし。
だから頻繁に遊びに行ってたわけ」
「そうなんだ」
「うん。モデルやるって言ったら、お前なら合うよって言ってくれたのも瞬。
あいつ、ああ見えてめっちゃいいヤツだから」
「……見えないけど」
「見えないだろ?」
あたしの言葉に、緋人は嬉しそうに笑う。



