「どれか気に入ったのあったらあげるよ。杏奈ちゃん」
熱心に見ているあたしにそう声をかけるのはミレ。
「本当ですか?」
「うん。どれがいい?やっぱさっきの?」
「……そうですね、やっぱさっきのかなあ」
「そうかそうか。じゃあ、それあげるよ」
「いいんですか?」
「おっけー。杏奈ちゃんとのお近付き記念」
そう言うと、バチっとミレがウインクをした。
ミレの見た目は男だし、喋り方も男なのに、どことなく中世的なモノを感じる。
それがこのウインクとかかも。
制服に着替えた緋人はあたしの元へ走って来た。
「杏奈、お待たせ!」
だけど、そのすぐ後ろには京香さん。
あたしはさっきの事を思い出して、少しだけ身構える。



