*シュガーラビット*





帰り道、

私は図書室であったことを

美来ちゃんに話した。





「はっ!?
なにそれあり得ないんだけど!!
ちょっと神崎シメてくる!」



道を引き返そうとした美来ちゃんを
私は必死に止めた。




「待って待ってっ!


あたしね、良い機会だと思うの…」




美来ちゃんは目を丸くして私を見た。





「……どうゆーこと?」






「あたし、
誰かと付き合ったことないから、
神崎くんと付き合って、
恋愛してみたいの。

神崎くんはいろんな子と付き合ってるだろうし、
いろいろ勉強になると思うの…」




美来ちゃんはため息をついた。




好きでもないのに付き合うなんて

そんな友達…嫌だよね……


美来ちゃんごめんなさい…





俯く私の手を取って、
美来ちゃんは答えた。





「わかった!!

ただし、相手は神崎だから
何かあったらすぐ言うんだよっ?

あと、他に好きな人が出来たら
すぐに神崎と別れること!」




そう言うとニコッと笑った。





「ありがとう美来ちゃん!!

こんなあたしだけどずっとよろしくね〜!!」




ぎゅっと抱きつくと、
香水の良い匂いが漂った。


美来ちゃんは私の頭を撫でた。




本当にお姉さんみたいで
大好きっ。




「ねぇ、
美来ちゃんも誰とも付き合わないじゃん?
もし何か理由があるなら…
知りたいなぁなんて……」



ずっと不思議に思ってた。





「…それはー、

好きな人がいるから」





美来ちゃんは空を見上げて言った。





「好きな人…?」





「うん!

もう会えないんだけどね、
諦められるまで恋愛はしないの。

てゆーか無理なんだよね、
どんなに良い人がいたとしても

あの人のこと、
忘れられないの…」




オレンジ色の夕陽の空に
カラスが1羽飛んで行った。


それが余計に寂しく思えた。





「…美来ちゃん」





何て言えばいいのか分からず
私は視線を落とした。


黒い影が横に伸びて美来ちゃんの影と混ざっていた。




「ごめん暗くした!!

てかなんで凛が落ち込んでんのよー!

それより神崎とのこと心配した方が
良いんじゃない?」



美来ちゃんは笑ってたけど

やっぱり哀しそうだった。





「う、うん!
なんか初心者のくせにいきなり
上級コース行っちゃったみたいだよね、
でも本当にどうしたらいいか分からないから
神崎くんに任せるよっ」




「うん!神崎は凛の人生の踏み台になるわけだね!!
ざまぁみろ神崎!!」



なんだか酷い言われようだけど
美来ちゃんがいつも通りになってくれて
私は嬉しかった。