私がまだ幼い頃はあの人が大好きだった。


優しく、なんでもできる。頼れる母親だった。


幸せだった。



やがてうんと年下の恋人が出来てお金を貢ぎ、旦那に逃げられ、あの人は邪魔者となった自らの娘をも追い出した。




「アパートは借りといてやったし、口座に生活費は振り込んどいてやるから今からこの家、出てって。」




これが、去り際に吐いた、あの女の言葉だった。