間一髪、黒い球を防ぐことができた。
アルマは無傷だ。
「クックックッ。クリスタを取り戻したければ来るが良い。ここがお前達の死に場所だ。」
そう言いながらブラッダは姿を消した。
「クソッ、あいつ!」
そう言いながらアルマは、自分の手のひらを拳で殴った。
するとその時、モンスターが動きを始めたのだ。
「っくそ!あのブラッダって奴をを倒さないと、この国が危ねぇ!」
アルマが雷を乱れ打ちしながら言う。
「…じゃあ、倒しに行こうよ。」
言葉を発したのは私だった。
何故だかは、良く分からない。
でも、今戦ってくれている皆のためにも、倒さなきゃいけないと思うんだ。
それに、物語はそうじゃなきゃ進まない。
なんかさ、もうお父さんには会えない気がしてきたんだよ。
無駄にゲーム界に残ってるなんて、悲しすぎるじゃん。
だから、もう、物語を終わらせたいんだよ。
終わらせて、…帰りたいんだよ。
「…倒しに、行こう。」
もう一度、静かに呟いた。
私の今の心情に気づく人がいるわけもなく、皆の顔は輝いた。
「うん、行こう!この国を救うために、そして、クリスタを救うために!」
パラリンの元気は戻った。
でも私はどこかで、心臓の鼓動が早まるのを感じていた。
空間の割れ目は、まだ私達の目の前に存在している。
来い…って事なのか?
ゴクリ。
私は生唾を飲み込んだ。
「行こう。この先にブラッダがいる。」
そして、私達は、空間の割れ目に飛び込んだ。
…後悔はしない。
このまま物語を終わらせて、人間界に帰る。
それで良いんだ。
それで…。


