魔法の国の少女


徐々に近づいてくるその人影は、一人の男だった。

全身を黒いマントで覆う、背の大きな人。

「お、お前は誰だ!?」

アルマが恐る恐る聞く。

するとその男は、大きな声で叫んだ。

「グハハ!我らはブラック・クリスタル!」

…やはりそうなのだと、私は理解した。

「そして俺はその長、ブラッダだ!」

「ブ、ブラッダ…?」

「クリスタは我々が頂いた!」 

「なんだと?」

アルマは声をひそめる。

だが、すぐにボリュームをあげた。

「クリスタを返せ!」

「嫌だね。クリスタという少年の魔力のエネルギーでないと、ブラック・ロボットを完璧にすることは出来ないんだよ。」

「っ!?」

「クリスタさへ手に入れれば、ブラック・ロボットは完全体となる!そうすれば、クリスタル王国は、いや、世界は我らの物だ!グハハハハ!」

皆、何がおきなのかはまだ理解しきれていない。

でも、自分達の国が危険だということは分かった。

それに、クリスタも。

でも、そこに疑問が生まれた。

その疑問をぶつけたのはパラリンだった。

「ち、ちょっと待て!クリスタの魔力って何だ?クリスタには魔法が無いんじゃないのか?」

「君たちは、相当な恩知らずだな。」

「え?」

私達は思わず、そろって聞き返した。

「このモンスタータイムでお前らは、いつもクリスタによって助けられていたんだ。」

「どういうことだ!詳しく説明しろ!」
アルマはカッとなってしまっている。

「我らのモンスタータイムは、ブラック・ロボットにささげるエネルギーの持ち主をさがしだすのが目的だった。」

「…。」

「強い魔力を持つものは、強いエネルギーも持つ。」

「どうしてそれが、クリスタなんだ!」

アルマが問いただす。