「クリスタって、最近アルマが仲良くしてた、あのクリスタか?」

始めに言葉を発したのはパラリンだった。

「そうなんだ。でも、大変なんだよ!」

「何があったのか、落ち着いて説明しろ。」

「わ、悪い。実は…クリスタがさらわれちまったんだ。」

「…!」

…だろうと思った。

もうそんなところまで来てしまったのか。

クリスタがさらわれたと言うことは、そろそろこの物語はクライマックスだ。

もし、クリアすれば、人間界に戻ってしまう…。

そんなの、急すぎる。

まだまだ、皆に恩を返せていない。

まだまだ、やりたいことがいっぱいある。

しかも、お父さんの事だって…。

それなのに、急すぎるよ。

「頼む、クリスタが心配なんだ!一緒に探してくれ!」

アルマが頭を下げている。

「シャリア、クリスタって人の事、知ってる?」

パラリンがたずねる。

「ううん、知らない。」

「クリスタって人はな、クリスタル王国のプリンセスとプリンスの息子で、あたいらと同い年なんだ。」

「うん。」

「学校に通っているんだけど、魔法を使わないから、皆に魔法が無いんじゃないかって、避けられていたんだ。」

「…。」

「そこで、アルマがクリスタに声をかけてみたら、意外と楽しい性格で、仲良くなったんだそうだ。」

「そうだったんだ。」

そうか。だから私が人間界でこのゲームをやっているときも、クリスタの魔法だけは分からなかったのか。

「でも、クリスタが居なくなっちまったってことは、心配だな…。」

「ど、どこに行ったのかは、分からないの?」

セイラさんが、恐る恐る聞いた。

アルマはうつむく。

「分からないんだ…。」