魔法の国の少女


だがその時。

またもや、どこかに吸い込まれるような感覚に襲われたのだ。

私がさっきまで見ていた情景は、だんだんと小さくなり、見えなくなった。

再びクラっとして倒れそうになると。

「っ。」

そこは、病室だった。

い、今のはなんだったのだろう。

せっかくあともう少しで、お父さんの顔を知ることができたのに。

って、私は何をやっているんだ。

回りの皆に迷惑かけちゃうじゃないか、こんなにフリーズしてたら。

ふと、シャドウさんの方を見る。

だが、疑問に思った。

シャドウさんが、私と同じように、驚いて、焦っているような瞳をしていたのだ。

今私が見たものと、何か関係があるのだろうか。

そんな風に考えていると、ふと我に戻ったシャドウさんが話しかけてきた。

「あっ、すいません。シャリアさんも元気そうなので、夕方には退院できますよ。」

「あ、ありがとうございます。」

シャドウさんは、動揺を隠せていない。

それは私も一緒だった。

「シャドウ先生、どうかしましたか?」

キュリが物珍しそうに言った。

「いや、何でもないよ。」

この場は、笑いによっておさまった。


それから、少し病室で寝させてもらった。

起きたのは午後3時。

そろそろ荷物をまとめておこう、と起き上がった。

…にしても、さっきシャドウさんの時に見たものは何だったのだろうか。

小さい頃の、記憶?

だとしても、その時のシャドウさんの瞳が頭に残る。

私と同じだったのだろうか。

私と同じように、何かを見たのだろうか。

どちらにせよ、シャドウさんが関係してないとは言いきれないと思う。

気になって仕方が無かった。

何より一番気になったのは、お父さんの顔だ。

タイミング悪く、あともう少しのところで我に帰ってしまったのが、本当に残念だった。