でも、泣いたらいけないんだ。
私は必死に上を向いて、なんとか涙を流さずにすんだ。
そんな私にセイラさんは体を起こして語ってくれた。
「シャリアは何も悪くないよ。」
「…。」
「今日のモンスタータイムは、何度もシャリアに助けられた。正直言って、2日の練習であそこまで魔法を使えるようになるなんて、驚いたよ。」
「っ。」
「でもねシャリア。誰も完璧に全て出来る人なんていないんだよ。」
「え?」
「誰でも少しはミスをするんだ。でも、それは仕方が無いんだよ。人間っていう生き物だから。」
…気付けば、さっきまでの気持ちは嘘のようだ。
セイラさんの言葉に、すごく助けられてる。
「だから、誰かが悪いとか、そう言うのじゃないんだよ。」
「…。」
「誰一人、悪くなんかない。」
その瞬間、セイラさんは自分の方に私を抱き寄せてくれた。
セイラさんの胸の中は、とても温かくて、居心地が良かった。
パラリンにもセイラさんにも、私はどれほどの恩をもらっただろう。
いつか必ず返すよって、誓ってたのに。
何ひとつ返せていない。
でも、だからってマイナスに考えてちゃいけないんだ。
いま分かったよ。
辛いときこそ頑張らなきゃいけない。
くよくよなんてしている暇はない。
今、私にとって一番頑張らなきゃいけないとき。
辛くても、苦しくても、悩んでも、今は頑
張らなくちゃいけないんだ。
時には、仲間の力をかりながら。


