魔法の国の少女


…私はどうなっても良い。

でも、これ以上セイラさんが傷を負ったら危ない。

その一心で、私は必死にセイラさんをかばった。

やられる!

その痛みを想像したら、始めて恐怖を感じた。

私は、最後の力を振り絞って、声にならない声でさけんだ。 

「もう…。」 

そして、セイラさんをさらに強くだしめた。

「もう止めてっ!」


――――何が起きたのか分からなかった。

今、確かに痛みが走るはずだった。

でも、何も感じなかったのだ。

私は、固くつぶっていた目を、ゆっくり開いた。

目の前では、セイラさんが顔を歪めながら気を失っていた。

その表情に胸が痛んだ…。

でも、その時ハッとした。

「も、モンスター!」

思わず叫びながら振り返る。

すると、そこには何も居なかった。

回りを見渡すと、皆がホッとした表情で微笑みあっていた。

ど、どういうこと?

何が起きたの?

モンスターは?

混乱している私のもとに、パラリンが走って来てくれた。

「おつかれ!」

「え?」

「モンスタータイムは終わったんだ!」

「…!」

…あまりの嬉しさに、全身の力が抜けた。

自然とその場に倒れてしまった。

すると、徐々に目の前が真っ白になっていって、記憶が途切れた。