魔法の国の少女


…空はいつもと変わらないのに。

透き通っているのに。

その空のもとでは、あり得ない光景が広がっていた。

もはや人間とは思えないほど、恐ろしい生き物たち。

そんな奴らがたくさんいたのだ。

もちろん、想像はしていた。

でも、実際になってみると恐ろしくて、魔法どころではなかった。

でも、そんなやつらと真剣に戦っている皆をみて、胸が痛くなった。

セイラさんが、大きな光の球を作った。
それを後ろににためて、体重と共に加速をつけて前に投げた。

何匹ものモンスターを一気に倒した。

アルマは巧みに雷雲を操って、モンスターの上に雷を落とし、倒していた。

パラリンは狂暴なライオンなどを引き連れて、噛みつかせて倒していた。

皆、町を守るために必死に、命がけで戦ってるんだ。

怖いからって、逃げ出すことは出来ない。

私も、戦わなきゃ。

皆の事を考えたら、不思議と恐怖が消えていった。

皆がいれば恐くない。

一緒なら大丈夫。

その時、すごいパワーが全身を駆け巡った。

今なら、皆と一緒に戦える。

そう思った。

目の前のモンスターを一直線に見つめる。

そして、そのモンスターに向かって両手をかざした。

――――「ハッ!」

目を閉じて叫んだ。

シールドははれた。

目は開けなかったが、閉じたままの方が集中できた。

そのまま、かざしたてを少しずつ絞っていった。

想像では、シールドも小さくなっていく。 

その狭さに耐えられないのか、モンスターは奇声を発した。

私は目を開いた。

そして、次の瞬間。

パァン!

黒い光と共にモンスターが消えていったのだ。

た、倒せた…。