もう何度目だろう。
私は目を閉じて、全ての力を使い、祈った。
…すると、体のどこかで熱が感じられた。
でも、それはほんの一瞬現れただけで、また元に戻ってしまった。
…今のは何だったのだろう。
これがセイラさんの説明する、全身を駆け巡るものなのだろうか。
いずれにせよ、今までとは違った変化が起きた。
これは、確実に私が成長している、ということを示していた。
本当に少しずつだが、上達している。
俄然やる気がでた。
もう一度試してみる。
目を閉じて、祈る。
――――「ッ!?」
何かを感じた。
今までとは比べ物にならないくらい、強い何かを。
それは体全体を駆け巡った。
でも、その時。
目の前がぐわんと回った。
体の力が抜けて、後ろに倒れていくのが分かる。
地面に打ち付けられる事を想像したら、怖くて呼吸が出来なかった。
「…ッ!」
もうだめだ。
そう思った時、地面に打ち付けられる痛みを感じなかった。
むしろ、柔らかい。
どうしてだろう。
「あっぶねー。」
…アルマだった。
アルマが支えてくれていたのだ。
皆がホッと一息ついたのが分かった。
なんとか自分で立てるようになった。
アルマに、お礼言わなくちゃ。
「アルマ、ありがとう。」
「いんや。それより、あんま無理すんな。」
「…。」
まだ魔法を使う前だっていうのに、情けないなぁ。
まだまだこれから。


