魔法の国の少女


――――ふと目を開けたら、セイラさんもパラリンも見当たらなかった。

自分が寝過ぎたのだと理解したのは少したってからだった。

急いで体をおこし、リビングまで走る。

「おっ、おはようございます!」

すると、皆が一斉にこちらを向いて、おはようって微笑んでくれた。

アルマとカルマでさえ起きてるのに、私はどのぐらい眠ってしまっていたんだろう。

「まったく、シャリアったら。今日はみっちり練習するんだからなっ。」

「えっ?」

「忘れたなんて言わせないよ。あたいとセイラさんがつきっきりで魔法教えてやるからよ。」

そ、そうだった!

今日は、ゲーム界で暮らしていくための大きな第一歩を踏み出す日なんだ。

絶対に、魔法を使えるようになってやる。

その意気込みと共に、勢いよく朝ご飯を口のなかに放り込んだ。

今日は、料理が苦手なはずのセイラさんが作ってくれた朝食のようだ。

確かに、美味しいわけではない。

でも、どこかに愛情を感じられる、心の暖まる料理だった。


そんな朝ご飯をたいらげたあと、私は一人で外に出た。

「うぅーーー、はぁー。」

おっさんのような声をあげながら、両手を上にあげて一つ大きな伸びをした。

人間界の空気とは違って、ゲーム界の空気はとても透き通っている。

そこで伸びをしたら、なんだか今日もうまくいく気がしてきた。

シールド使いシャリア。

魔法が使えるようになって初めて、この自己紹介が成り立つ気がする。

ゲーム界で、悔いは残したくない。

だから今、頑張らなくちゃいけないんだ。

もし、アルマ達が居なかったらって考えると今でもゾッとする。

そしたら、今頃私は一人で、なすすべなくいただろう。

こうして、仲間という大切なものを手に入れたのだから、絶対にゲーム界で成功して、お父さんを見つけるんだ。

そのための第一歩が今日。

『シールド使いシャリア』になってやる。