だから私は、頭を下げた。
セイラさんだけにじゃない。
皆に向けてだった。
突然の事に、皆の驚いた吐息が聞こえたけど、お構いなしに言葉を発した。
「迷惑かけて、ごめんなさい。こんな、初対面の私にも、優しく接してくれて、家にまで招いてくれて、ここに居させてくれてっ…本当に、ありがとうございますっ…!」
今まで、不安が薄れた代わりに、皆対して申し訳ないっていう気持ちが大きくなっていた。
セイラさんが私に微笑んでくれた瞬間、何故だか分からないけど、頭が下がった。
いや、下げたくなった。
そしたら、今まて私の中に貯めていたものが全部出てしまった。
こんなことを言ったら、皆が動揺してしまう。
その事が分かっていたから、今まで言葉にしなかったのに、何をやっているんだろう、私は。
本当に、バカだ。バカ、バカバカ。
今にも泣きそうになった私を、パラリンが抱き締めてくれた。
「そんなこと気にするなよ。あたいらだって、嫌々シャリアを招いてる訳じゃないんだ。シャリアといて楽しいから、シャリアともっと一緒にいたいから。」
「…っ。」
「そんな風に思える存在だから、助けたいって思うんだ。」
…泣くなっ。
ここで泣いたら、もう止まらなくなるに決まってる。
だから、なんとか涙だけはこらえた。
その代わりに、言葉を発した。
皆に対して。
「っ、本当に…ありがとうございます…!」
皆は私のことを抱き締めてくれた。
優しく。
でも、力強く。
この皆とならやっていける。
この時、心の底からそう思った。
ゲーム界。
そこは不安だらけの怖い場所だった。
でも、心強い仲間をもって、私は本当に幸せ。
頑張っていきたいって思える。
そして、何がなんでも。
お父さんに、会ってみせるんだ。


