魔法の国の少女


その後、タル町の事を少し紹介してもらったり、町人の人たちと挨拶したりした。

その途中で、キュリは病院に行くからと帰ってしまった。

でも、アルマ達と一緒に行動できて、楽しかった。

何より、皆と打ち解けられている気がして。

いきなり現れた初対面の私と、こんなに仲良く接してくれる皆の優しさに、何度涙腺が緩んだだろう。

私は幸せ者だ。

さっきまでは、あんなに不安だらけだったのに、アルマ達と接するうちに、その不安は薄れていった。

仲間って大事なんだって、実感できた。


すると、少し住宅街の抜けた所に、淡い緑色な壁の家がそびえていた。

「ここが、おれ達の家だよ。」

「…わぁー。」

こんな淡い色の緑が好みだった私は、その家に見とれていた。

さっそく、お邪魔することになった。

「ただいま!」

アルマとカルマとパラリンは、口を揃えて叫んだ。

私は、短く深呼吸した。

「お邪魔しますっ。」

家庭的な雰囲気があり、なにより居心地のよさそうな家だった。

しばらくの間、ここで暮らせるってことがとても嬉しかった。

するとそこに、ミニスカートのワンピース、その上にエプロンを着た一人の女性が
せっせと動いていた。

「あっ、おかえり。」

こちらを向かなかったため、私の存在に気付いていないようだ。

それをカルマが呼び止めた。

「ちょっと、お姉ちゃん。」

お、お姉ちゃん!?

その女性は、長く黄色い髪の毛を赤いリボン型のカチューシャで、前髪ごとあげていた。

よく見てみると、顔のパーツの一つ一つが整っていて、『可愛らしい』というよりとも『美しい』という人だった。

そして、その女性が初めてこちらを向いた。

「あ、ごめんなさい。あたしったらお客さんに失礼な態度を。」

形の良い眉毛を傾けて謝ってくれた。

「い、いえいえっ!」

私は必死に否定した。

「初めまして。アルマとカルマの姉の、ライト使いセイラです。」

「あ、私は、シールド使いのシャリアです。」

アルマ達のお姉さんだったんだ。

それにしても、綺麗な人だなぁ。

すると、アルマが真剣な表情になった。

「シャリアはさっき、ティセラさんのクリスタル像の噴水で倒れてたんだ。どこから来たのか分からないらしいから、いく場所もないし…。ここにしばらくおいてあげて良いよね?」

すると、セイラさんが、私の方を見た。

「もちろん!」

こちらまで微笑みたくなるほど、愛らしく微笑みながら答えてくれた。