魔法の国の少女


しばらく歩くと、タル町に到着した。

「ここがおれ達の町、タル町だぜ!」

アルマが自慢げに言った。

すると、向こう側から、誰かが近づいてきた。

「お兄ちゃんおかえり!」

「ただいま、カルマ。」

それは、アルマの弟のカルマだった。

「お兄ちゃん、その人は?」

「ティセラさんのクリスタル像の広場にいたんだ。」

そして、アルマがこちらを向いた。

自己紹介の合図だと察した私はカルマの方を向く。

「私、シールド使いのシャリア。」

「僕、眠気使いのカルマだよ。よろしくね。」

私は笑顔を作ってうなずいた。


するといきなり、私達の目の前で、一人の子供が転んでしまった。

「うわぁぁぁぁぁん!」

ひざをすりむいてしまったようで、血がにじみ出てきている。

とっさに子供の所へ寄ってしゃがんだ。

「だ、大丈夫?」 

痛そう、泣いているし。どうしよう…。

…その時だった。後ろから少女が来たのは。

「っちょっと見せて。」

焦った様子で、私の隣に来た。

子供の泣き声を聞き付けてやって来たのだろうか。

その少女は、驚くほどに可愛いかった。

少女は、子供のひざを立て、まぢまぢと見つめた。

そして、傷口の辺りにてをかざす。

…目をつぶった。全神経を集中させているように見える。

その姿はとても格好が良かった。