通学電車~君と僕の部屋~

彼を毎日、見たいと思う。
彼を見ることができない日は、すごぃガッカリしてしまう。
ショウの存在が私の一日の機嫌を左右するほど、大きなものになっている。
少し開いた窓から風が吹いて、ショウの前髪をさらりと揺らした。
長い前髪の間から、閉じられた瞼が見える。
・・・・・まつ毛、長いんだね・・・・・。
もしかしたら、私より長いかも。
女の子として、ちょっと複雑な気持ちになってしまう。
でも、ショウについてまた一つ知ることが出来た。なんだか、嬉しい。
その時、次の駅名をアナウンスが告げた。瞬間、ショウの瞼が開いてしまった。
ショウと、私の視線が重なり合う。ショウの瞳に、私の姿が映りこんでいる。
(ええっ!?)
思いがけない事態に、私は動揺してしまう。
咄嗟にパッと目を逸らし、私は慌てて電車を降りた。
心臓が、すごい早さで高鳴っている。
・・・・・どうしよう。思いっきり目が合っちゃったよ・・・・・
しかもめちゃくちゃ不自然に目を逸らしちゃったよ・・・・・。
ショウの切れ長の目が、私を見ていたことにドキドキしてしまう。
(うわあ・・・・・。私、ショウに見られちゃった)
憧れのひとに、「私」という存在を見てもらえた・・・・・。
・・・・・「私」を、知られた・・・・・?
「・・・・・で、ここはどこなの?」
私の降りる駅はまだ先なのに。見知らぬ場所でポツンと一人立っている。