学校が終わって帰るまで、僕はおじいさんの事なんてすっかり忘れてた。
だから、帰り道に例の道で、今朝と同じようにおじいさんが道端にいるのを見て、ギクッとしてしまった。

今度こそ見ないように!

僕は自分に言い聞かせて、足早に通り過ぎようとする。
なのに、僕の意志に反して、僕の顔と目はおじいさんの方に向いてしまった。

「!?」

今度は今朝より驚いた。
どうやらおじいさんは、手品の大道芸師だったみたいだけど、唐突だったんだ。