「その昔、一度どうしてもイヤになったことがあったのさ。
その時は、すぐに投げ出すのはいけないだろうと思い直し、自分で選んだ者達だけを残して、やり直させた。

その後しばらく放って置いたら、もっとひどいことになっていたのには驚いた。

また、終わらせた方がいいかどうか悩んでいてね……。

最後に様子を見に遊びに来てみたんだが、昨日のようにひどい言葉を浴びせられるとね…。

もう、私を信じる者はいないのだろうと思うと、力がどんどん抜けていっていたよ。
だがここで、力を出して見せていけばいくほど、逆に力がみなぎっていくのが判ったのだ。

いっそのこと、全てなくしてしまった方が、やり直しも出来るというものだ。

今度こそ、失敗しないようにしなくては」

一気に、彼は訳のわからないことを独り言のようにまくしたてる。


「今度は、洪水などという簡単な事はしない。全て一からやり直すことにしよう。

………これは、確かに返して貰ったよ。



……さようなら」