過去に戻ってもう一度〜今でも君が好き〜




学校の入り口で入学式の説明を受け、しばらくの間お父さんたちとはお別れ。


そして私は、懐かしの1年F組の教室へ向かう。


もちろん、彼とは同じクラスではない。


そりゃそーだよね、過去に戻ってきたんだもん。


私の理想の中じゃないんだし。


自分の順応性の高さには驚く。


本当にここ、過去なんだなー…。


教室に着くと、まだ人は全然集まっていなかった。


懐かしい。


私はここで、一生の友達に出会うんだよね。


それが、私より先に来ていた女の子、町田芽衣。


私が座るはずの席の後ろに腰掛けていた芽衣は、私に気づいたようで、少しだけ振り向いた。


うわー!芽衣幼い!!


芽衣だー!なんていつものノリで飛びかかりそうになったけど、危ない危ないここは過去なのだ。


つまり、芽衣はまだ私のことを知らない。


「あ、はじめまして!」


先に声をかけると、芽衣はまだ緊張してるのかぎこちない笑顔で同じように返してくれた。


「私、藤澤美夜子っていうんだ〜!席、そこなの」


「ほんとに?うちは町田芽衣だよ!よろしくね美夜子ちゃん」


芽衣の前に荷物を置いて、体を後ろに向けてイスに座る。


芽衣に美夜子"ちゃん"なんて呼ばれるのなんだかむず痒い……


笑うとえくぼが出る、私が大好きな笑顔はこの時から何一つ変わっていなかった。


「美夜子って呼んで!よろしくね、芽衣!」


もうすぐ、入学式が始まる。