お母さんに急かされ、寝ぼけ眼のまま1階に降りると、既にお父さんと1個下の弟が朝ご飯を食べていた。
「おはお〜…」
「なんてあくびしてんだ。昨日寝てないのか?」
「緊張して寝れなかったんじゃね?」
お父さんと弟の朝日が、からかうように2人して笑っている。
この2人までなんか変なこと言ってる……
って、
「なんで朝日学ラン着てんの?」
朝日は中学、高校共に学ランだったけれど、もうとっくに卒業して家の近くの大学に通っているのに。
コスプレかなんかのつもり?
「は?今日学校だからに決まってんじゃん」
「もぉ、さっきから美夜子どうしたの?どっか頭でも打った?」
「まだ夢の中みたいだな」
ハハハハッと笑う3人。
何も笑えない私。
え、ちょっと待って?
これは現実ですよね?
とっくに目は覚めてる。
頭だって冴えてる。
…………えっと。
季節は、春。
お母さんは今日は入学式だと言う。
朝日は学ランを着ているし、なんだか少し幼く見える。
お父さんも、最近増えていたはずの白髪がなくなっている……
………………まさか。

