「いけー!F組ー!」
それぞれクラスカラーのTシャツを来た男子たちが、一つのボールを追いかけて狭いコートを行ったり来たりしている。
全員が経験者ってわけではないはずなのに、なぜかみんないい動きをしていて、見てるこっちもなんだか熱くなる。
やっぱスポーツっていいなあ!
「八城っ!シュート!」
八城はサッカー部で、1年生の中でもトップを争う程の実力の持ち主だってどこかで聞いたことがあった。
なのに。
今目の前でゴールに入ったのは、サッカーボールではなくて、バスケットボールだ。
「カズー!お前は天才だ!!」
「バスケ界のカズにでもなる気か!」
コートの外にいた青のTシャツを着ている男子達が、現役バスケ部より目立っちゃってる八城を囲み始めた。
カズ……ってああ、八城の下の名前、かずなりだっけ。
一成って書くから、最初はいっせいだと思い込んでたんだよね。
「F組勝っちゃったよ、芽衣」
「しかも、決勝進出」
トーナメント表が書かれたプリントを見ながら、芽衣は苦笑いしている。
同じ青のTシャツを着ている女子達も、八城の活躍に驚いてるみたいだ。
隣の女の子なんて、「八城って意外とかっこよくない?」なんていってるし。
「あいつほんとに藤咲くん倒すつもりなのかな…」
「藤咲くん悪くないのにさっ!」
今日の朝から、いやもう一週間前から、八城は毎日『打倒純平!』と豪語していた。
その理由は、振られた彼女に純平くんの方がかっこいいと言われたかららしく、まあ純平くんからしたら迷惑な話なわけで。
そりゃこんなバカよりかは純平くんのがかっこいいわな。うん。
「あ、ちょうど次B組試合なんだ」
芽衣がそう言うのと同時に、視界の隅に黒の集団が映った。
黒いTシャツは、B組のクラスカラー。
「おっ、藤澤!」
ここで純平くんが話しかけてきてくれたら、きっと私は心肺停止状態になっていたと思う。ので、目の前にいるのが彼じゃなくてよかったと思い込もう。
「菊池だ」
ほんとは少し、ってかかなりガッカリだけど!!
「F組どうよ?負けた?」
「あれ見ればわかるよ」
芽衣が持ってるようなプリントではなくて、体育館の隅にあるホワイトボードに大きくトーナメント表が書かれている。
そこを指差すと、ニヤニヤしていた菊池は一瞬にして嫌そうな顔に変化した。
「勝ってんじゃねーか!なんでだよ!」
「私に言われてもさあ!!」
「そりゃ勝つよ」

