だけど、そう思ったのは一瞬で。
すぐに菊池の言いたいことが理解できた。
「誕生日だから、か」
「よくわかってんじゃん」
相変わらず偉そうな態度が鼻につくけど、友達想いなのがわかるから憎めない奴だったりする。
でもバスケのことに関しては、負けろと言われても私がどうこうできることではないのでは……
それを口に出す前に、もう菊池は自分の教室に向かって歩き出していた。
「えっ、ちょっと菊池!」
「じゃーよろしくー」
こっちを見もしないで片手をひらひらさせた菊池は、やっぱり腹が立つ男だ。
だけど、純平くんの誕生日をお祝いしたいってのは私も同じ気持ち。
まさか菊池が誘ってくれるなんて思ってもいなかったけど、今度こそ純平くんに「おめでとう」を言えるチャンスだ!!
ただそのことが、私のテンションをさらにさらに高めていく。
5年前、いや高校3年間、いつもその一言が言えなかった。
何度もチャンスがあったのに、いつも言い訳をつけて傷つくことが怖かった私は、それから目をそらしていた。
タイミングの悪さに、神様を恨んだこともあった。
悪かったのは神様じゃなくて、勇気のない私だったのに。
「純平くん、甘いもの好きなんだよね…」
でも神様は、そんな私を過去に戻してくれた。
どうして私なのか、それはわからないけど、私は今できることを精一杯やろう。
後悔を残したまま現実に戻らないように。

