5年前だったらどうしても会いたくなくて、というか会えなくて。
多分逃げるように帰っていたけど。
それよりも今の私は、純平くんに会いたくて仕方なかった。
過去の私はショックで逃げていたけど、そんなのは意味ないから。
逃げても逃げても、純平くんに彼女がいるってことからは逃げられない。
だったら、やっぱり少し胸がチクチク痛むけど、"友達"としてそばにいたい。
特別になんかなれなくていい。
ただ、純平くんが笑ってくれていれば、それだけで嬉しいから。
「あれ、藤澤?」
後ろから、大好きな声が聞こえた。
昼休みには振り向けなかったけれど、今は違う。
もう、覚悟を決めたんだ。
どんなに辛くても、純平くんといる時は笑顔でいようって。
彼女がいることをわかっていても、私は純平くんを諦められない。
多分諦めるどころか、どんどんどんどん好きになっていくと思う。
その分、辛いことも増えると思う。
それでも、いいの。
純平くんが……大好きだから。
心の底から、本当に好きじゃないと思えるようになるまで、私は純平くんを好きでいる。
というか、今の私じゃ他の人を好きになれっていうほうが無理な話。
だったら、純平くんが好き!って自分で決めてたほうが、同じ辛さでも変わってくると思うんだ。
だから、私はもう逃げない。
「あっ、藤咲くん!部活おつかれさまっ」
自分の中の精一杯の笑顔で振り向く。
逃げるんじゃなくて、笑顔で、真っ正面から。
そうすればほら、笑顔の純平くんが目の前にいるからーー

