バカだなあ。
純平くんにとっては、まだ知り合って2ヶ月そこらの女子、ってだけなはずなのに。
少し話せるようになったくらいで、笑顔を見れるようになったくらいで、名前を呼んでくれるようになったくらいで。
期待なんかしちゃいけないんだった……
「……私さ、すごい純平くんが好きなんだよね」
「うん」
「一目惚れだったけど、見た目だけじゃなくて、もう、全部が好きなんだよ…」
「うん」
私の方を見るわけでもなく、ただいっちーは私の前の席に座って相槌を打ってるだけ。
それがなぜか優しさに感じられて、ずっと堪えてた涙は私の力がなくなればただ溢れるだけだった。
「彼女、いるんだなあ……」
ポツリとつぶやいた言葉が、はっきりと心に刻まれた気がした。
いっちーは何も言わなかった。
純平くんに彼女がいるっていうのは変わらない事実だ。
確か、中学の時から付き合ってる違う高校の女の子。
違う学校ってことだけが唯一の救いだった。
もし同じ学校にいたら。2人が一緒にいるところを見てしまったら。
私はきっと、涙をこぼすだけではいられない。
「…ごめんいっちー。ありがと」
「ん。気にすんな」
5年前と同じこと言ってる。
過去と大きく違ったと思えば、過去と全く同じことも起きるし。
なんだかもう、少しだけ笑えてきた。

