なんていうか、わかっていたことなんだけど。
一度聞いたくらいじゃ慣れるわけもなくて、"純平くんに彼女がいる"という事実にまたひどく傷ついてしまった。
しかも今回は、よりによって本人の口から聞いてしまうなんて。
むしろ初めて聞いた時よりショックが大きい。
「なんか男子が騒いでたのそれか…」
誰もいなくなった教室の隅っこに座り項垂れてる私を、慰めようとしてくれてるのはいっちー。
昼休みからどんな顔でどんな態度でどんなことを言って過ごしたのか、何一つ覚えていない。
それなのに、頭にはっきりと残っているのは、「いるよ」と言った純平くんの声。
直接私に向かって言ったセリフではないけれど、本人の言葉ってこんなに痛いんだ。
胸に、形容しきれない痛みがあって苦しい。
「昼休み、藤咲が教室から出てく前になんか男子が固まって騒いでたんだよね。あんま聞いてなかったけど、純平っていうのと彼女ってワードが聞こえたからさ、まさかなとは思ってたんだけど」
5年前は、この事実をいっちーの口から知らされた。
あの時のいっちーの言いづらそうな顔は今でも覚えてる。
相当悩んだんだろう、今日よりももっと後に教えてくれたんだ。
だからまさか、今日知るなんて思ってもいなかった。
過去が少しずつ変わってるのはわかっていたけど、ここがこんなにも変わってるなんて……
最近仲良くなれてた分、なおさらきついかも。
彼女がいるなんてわかってはいることだったけど、多分私はどっかで期待してしまっていた。
女子とはあまり話さない純平くんが、私とは話してくれるから。
ただ他の女の子よりたまたま話す回数が多いから、その分他の女の子よりも話せるってだけなのに。
いつのまにか、どっかで期待してしまっていた。
私は、純平くんにとって特別になれてるんじゃないかなって…。

