過去に戻ってもう一度〜今でも君が好き〜




お昼休み。


今日に限って弁当を持ってくるのを忘れてしまった私は、一人で購買へと向かっていた。


芽衣が付き添うと言ってくれたけど、4階から1階まで一緒に来てもらうのは申し訳なくて、結局一人。


何回かいっちーと来たことあるけど、人が多すぎて前に行けないんだよなあ〜…。


暗黙の了解みたいので、先輩優先ってなってるし、結局1年生は余り物だけだしね。


せめてパンでも残ってますよーにっ!


財布を片手に少しだけ早足で歩いていると、前の方に見慣れた後ろ姿があった。


見慣れたというより、私の大好きな後ろ姿。


「藤咲くんっ!」


いつもより大きめの声で呼んでから、パタパタと駆け寄る。


あっっっぶねーー!


純平くんが振り向いた瞬間、なんかもうかっこよすぎて倒れるかと思った!!


「藤咲くんも購買?」


「うん。弁当忘れた」


「アハハッ!私も同じー」


自然に藤咲くんの隣に立って歩いていることが嬉しくて、どうしてもテンションが上がってしまう。


やっぱり好きだなあ。


何がとかじゃないけど、そう思うんだ。


「わー。人すげー」


藤咲くんの言う通り、なんだか前に来た時よりも人が多い気がした。


なんだなんだ、みんなして今日は弁当忘れる日なのかな?


その人の量に少し怖気付いたけど、そのおかげで長く藤咲くんといれると思ったらまたテンションは上がる。


委員会以来の2人きり!嬉しー。


「こっち来た方がいい」


ふと、体をグッと引き寄せられた。


一瞬何がなんだかわからなかったけど、真後ろに藤咲くんはいて、私の右肩を掴んでいた。


「んー見えねー」


160センチの私よりも15センチ近く背の高い藤咲くんは、私の頭上越しに売り場の方を見ているようだった。


ななななななななななななななな


なんですかこのイベントはっっっ!?


初耳なんですがあああああ!!!!


藤咲くんが触れている右肩が熱い。


もうパンなんてどうでもいいくらいに、真後ろにいる藤咲くんに全部の神経が集中してる。


「あ、行けそう」


真上から降ってくる声が、たまらなくかっこよくて。


ドキドキしすぎて心臓が飛び出ちゃいそうだったけど、いっそこのままでもいいと思ってしまった。


「藤澤、今のうちっ」


「わっ」


藤咲くんに背中を押され前に飛び出ると、ちょうどいいタイミングで隙間に入れた。


目の前にはまだたくさんパンが残っていた。


「あ、えと、これとこれください…」


自分のをおばさんに頼んだ後、藤咲くんはどうするのだろうと振り返ろうとした。


そしたら、


「俺これとこれとこれくださーい」


藤咲くんは、真横にいて。


横顔がかっこいいとか思う前に、あまりの近さに驚いて、「ひゃっ」という間抜けな声を出してしまった。


それを聞いてこっちを向いた藤咲くんはもっと近くて、下手したら鼻が触れてしまうんじゃないかってくらいで。


こんな時なのに、ああ昨日パックでもしておけばよかったななんてまた間抜けなことが頭によぎった。