過去に戻ってもう一度〜今でも君が好き〜




「藤咲くんの名前、どういう漢字書くの?」


本当はフルネームで知ってるくせに、名前関連でただ聞いてみる。


なんでもいい。


純平くんから純平くんのことを教えて欲しいんだ。


「藤に花が咲くの咲、純平は純粋の純に平和の平」


空中に向かって指で文字を書くように手を動かす純平くん。


その仕草さえ好きだと思ってしまう。


"純粋の純に、平和の平"


純平くんにぴったりだな、と思う。


私の、純平くんに対するイメージは、白。


それは肌が白いとかいつも持ってるエナメルのカバンが白いからとか、そういう影響もあるのかも知れないけど…


単純に、純粋な人だと感じるから。


純平くんは人見知りだし口数も少ないから無愛想に見えるけど、でも本当はマイペースで話しかければちゃんと応えてくれるし言われたことはちゃんとできる人だし。


このイメージは、過去も現在も変わらない。


イメージというより、本当なんだけども。


「純平って名前、前に聞いた時も素敵だなって思った!」


「どこにでもいるでしょ」


「いや、藤咲くんに似合ってるなあって」


あ、やばい。


まだ私達はそんな性格とかよく知ってる仲なわけじゃないのに、あたかもわかってるような言い方しちゃった…。


不自然、だったよね?


「まじか。嬉しい」


でも藤咲くんは、不自然となんて微塵にも思ってないように少し笑った。


……私、耐性なさすぎて笑える。


いちいち泣きそうになってたらキリないのに〜〜っ。


「まあっ、藤咲くんが純粋かはわからないけど…」


「えっ。純粋だけど」


「ほんとに?菊池と仲良いのに?」


「それ関係あるか〜?」


私のお得意の、おちゃらけでなんとかその場をしのぐ。


藤咲くんも最初に比べたらすごく自然に話したり笑ったりしてくれて、もしかしたら少しだけ心を開いてくれたのかも。


嬉しくて、涙より笑顔がこぼれる。


「へへっ」


「?なんでニヤニヤしてんの」


「してないよっ!さあ、終わらしちゃおーう!」


必要なのは、ほんの少しの勇気だったんだなって、心の底から思う。


そのほんの少しの勇気すらなかった過去の私は、やっぱり純平くんに近づく権利なんてなかった。


見てるだけのくせに、いろいろ欲を持ったりして、自分のことしか考えてなかったんだな。


今の私は、純平くんが笑ってくれてることが幸せだと思う。


一週間後くらいには、すごく傷つくことは知っているけど、それでも笑ってくれるならそれだけでもいいと思えるんだ。


ねえ純平くん。


純平くんの中に、"藤澤美夜子"という存在は置いてありますか?


特別なんかじゃなくていいんだ。


ただ、"友達"として。


"彼女"になれないことは、もう知っているから…ーー