過去に戻ってもう一度〜今でも君が好き〜




入学してから早いもので、もう5月に入った。


まだ寒くて朝起きるのに苦労していたのが、今じゃ目覚ましが鳴る前に起きるほど。


私の朝は、いつ純平くんに会っても平気なように、びっしりと身なりを整えるのに大忙し。


「っうあー!やばい!もうこんな時間じゃん!!」


食べかけの食パンを一気に口に詰め込み、食器を流しに置いた後は最後の仕上げの歯磨き。


「だから急ぎなさいって言ったでしょー」


お母さんは呑気にソファーに深く腰掛けてニュース番組を見ている。


テレビに表示されてる時間は7時50分。


待ち合わせ時間は8時。あと10分しかない。


「女の子はいろいろと忙しいのっ!」


口をゆすぎ鞄を手に取ってから慌ててローファーを履いて、玄関に置いてある全身鏡で最後のチェックをする。


よし!今日も完璧!多分!


「美夜子、お弁当忘れてる」


「あっ。ありがと!いってきます!」


「いってらっしゃい。気をつけてね〜」


お母さんのふわふわとした挨拶に見送られて、今日も私は自転車に乗って走り出す。


本当に、女の子の朝は忙しい。


いや、むしろ私がバタバタしてるだけなのかな?


そんなことを考えながら、待ち合わせ場所に向かって必死にペダルを漕ぐ。


あー今日も文句言われる〜。


そこに着くと、やっぱりすでに彼女の姿はあった。


「ごめんいっちー!おはよっ!」


「おっそーい!おはよ美夜子」


市原広菜。


小学校の頃から同じ学校に通っている、幼馴染というか腐れ縁みたいな女の子。


市原のいちをとって、わたしはいっちーと呼んでいる。


下の名前で呼ぶのはなんか恥ずかしいから。


「いやー乙女は大変でして」


「言い訳はいらんっ。もー遅刻するじゃん!」


「ごめんて〜」


こんな感じのやり取りは、正直日常茶飯事。


いっちーとは毎日登下校を一緒にしていて、まあ色々話す。


まだこの時は芽衣よりも、お互いのことをよく知ってるいっちーの方が色々話しやすくて。


何より私が純平くんを好きなことを知ってる高校で唯一の友達なのだ。


しかも、いっちーは、純平くんと同じB組だったりする。