担任の先生はなかなか教室に入って来なくて、それはどの教室もらしく、他のクラスの生徒が何人かここにも入ってきてた。
……そういえば。
こうやって芽衣と話してる時、確か純平くんがB組の男子と一緒にうちに来るんだよね。
同じ中学の男子に会いに来たみたいで、それを見て純平くんだーって感動したなあ…………
「おい八城ーっ。来てやったぞ!」
突然教室に入ってきた一際大きな声の持ち主は野球部に入る予定であろう坊主頭で、その存在も知っていた私はそいつにまで懐かしさを覚えた。
まあそれはこの教室にいる人みんななんだけどさ。
こいつはなおさらっていうか。
だってさ、ほら。
その坊主頭、菊池の後ろにいるのは……
「……純平くん」
ボソッとつぶやくと、それだけで胸が締め付けるようだった。
さっきは見えなかった前からの姿。
純平くんもやっぱり少し幼くて、だけど、そこにいるのは紛れもなく私が大好きだった純平くんで。
後ろのドアのところで楽しそうに笑ってる彼だけが眩しかった。
「ん、美夜子の知り合い?」
「あー、あの坊主は少し」
この時の純平くんは私のことを知らないはず。
でも、菊池とは知り合いだった。
中学校は違ったものの、受験の時に通ってた塾が同じでわりと話す方だった。
と言ってもたまに授業が被った時だし、塾をやめて2ヶ月くらい経つからもう覚えてないかもだけど……
…そうやって、過去の私は何もしなかったんだよね。
せっかく純平くんに近づけるかもしれないいきなりのチャンスだったのに、緊張しすぎてチラチラ見ることしか出来なかった。
あの時話しかけてれば…ってしばらく後悔したっけな。
緊張は、今も同じくしてる。
菊池ももう一人の男子、八城も目に入らないくらい、私には純平くんだけで。
まだ私のことを何も知らない彼の視界に入ると思うだけでドキドキする。
……だけど、きっとここが肝心だ。
じゃなきゃ過去と同じままだから。
2度も同じ後悔を味わいたくないもん!

