「なんかドキドキするね〜」
「高校の入学式ってどんな感じなんだろう?」
すでに打ち解けていた芽衣と、体育館に行くまでずっと話していた。
そして、入り口の前に着いた今も。
「私返事上手くできないかも〜…」
「アハハッ!上手なお手本見せてねー」
返事というのは、学年の一人一人の名前を担任の先生が読み上げて、一言「はい!」と言ってその場に立つだけのもの。
それなのに私は、確かこの時緊張のあまり声が裏返ってしまった。
もうそれが恥ずかしくて恥ずかしくて……家に帰ってからもお父さんとお母さんにからかわれたっけ。
よーし。今度こそはかわいく返事するぞおー!
変な意気込みを自分の中ですると、やっとF組の入場の番が回ってきた。
「行くよー芽衣っ」
「うん!」

