「頭打った…?」


「ちょっと階段から落ちて。あ、大きなケガではないから大会には出られるよ。」


「よ、よかったぁ。」


……ん?


私は近くにいた真実を見る。


「真実!」


「だってぇ、菜緒…彰君となかなか上手く行かないみたいだから…」


「もう…」


真実ってば…


「わざわざありがとうな。菜緒。」


彰君は笑って言う。


「あ、頭…打ったって…」


「大丈夫だよ。うちの母さん、大袈裟だからさ、電話したら心配だから病院行けって。多分平気。」


「そ、そう。よかった。」


なーんだ…。


よかった…。


彰君、大会出られるんだ。


すると


「じゃ、邪魔者は消えます!」



真実は笑って言うと保健室を出た。


彰君と二人きりに。


「菜緒、俺…彼女と別れたから。」


「…え!?」


わ、別れた。


もしかして…。


「ごめん!私のせい?花火大会の時…」


「俺から別れを告げたんだ。」


彰君は私の言葉を遮り言う。


「……え……」


どうして…?


「菜緒、今の俺らなら大丈夫だよ。」


「……え……」


「俺、菜緒が好き。もう一度付き合って。」


――ドキッ。


「い、いいの?私なんかで…」


「俺は本当はずっとずっと菜緒が好きだった…。」


彰君……。


「菜緒が行く時、俺…遠くから菜緒があの街から離れるの見てた。」


「……え……」


「何も言えないまま終わってすごく後悔して…菜緒を忘れるために彼女作った。でも再会したらだめだった。」


「彰君…。」


「俺、菜緒を大切にする。今度はずっと一緒にいられるよう頑張るから。俺の側にいてよ?」


彰君は私を真っ直ぐ見つめ言う。


私の瞳からは涙が流れる。


彰君……。


「はい…。」


私が言うと彰君は私を抱きしめた。


彰君の心臓も私の心臓もドキドキしてる。


今もずっとずっと彰君が大好き……。