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「菜緒!それ自分で作ったのか?」


――昼休み。


彰君が私の弁当を覗き込み聞く。


「あ、うん…。」


すると


「もーらい。」


彰君は私の作った卵焼きを一つ口に入れる。


「………あ………」


「美味い!菜緒の料理最高。」


彰君は笑って言う。


――ドキッ。



「じゃあ俺、彼女んとこ行かなきゃ!あ、また明日も弁当のおかず少しくれよ?」


彰君はそう言うと教室を出た。


彰君…。


料理…褒められちゃった…。


すると


「菜緒、どうしたの?にやにやして。」


「は、はい?」


私は真美を見る。


「もしかして日下部彰が好きとか…?」


「………え………」


「違う?」


真美は私を真っ直ぐ見つめ聞く。


「わ、私には輝が…。」


「好きって見てて分かるよ?あたし。」


真美が言う。


………う………


「なんで…」


「菜緒、わかりやすいし。」


「………え………」


ま、マジで?


「彼氏と別れて彰君にすれば?」


「だ、だめだよ絶対。」


「なんで?」


………う………真美……。


「彰君は私の元カレなんだ…。」


私は真美に観念して言う。


「………え………」


真美はびっくりした表情で私を見る。


「だからもう忘れて輝と……。」



「菜緒…。」


「彰君には彼女いるし。私にも彼氏が。別れた原因、私だったんだよ?今更ね…。だからもういいの!」


「でも菜緒…。」


「私も輝の所行くね!」


私は笑って言うと弁当を持ち輝のクラスに向かった。


彰君は友達…。


そうだよ。



今更…


過去にすがれない。


もう


忘れるべきの気持ち。



私、しっかりしなきゃ。